2015年9月27日(日)、北陸新幹線の車両を整備する「白山総合車両所」が一般公開されました。前回開業前に白山市民(とその同伴者)を対象にした2015年1月の公開と異なり、今回はどなたでも参加することができ、家族連れや鉄道ファンおよそ5700人が来場しました。
開業後ということも有り、新たに全般検査・台車検査で使用する設備の公開も行われました。一般公開の様子をレポートです。

白山総合車両所は全国で4番目の新幹線総合車両基地で、敷地面積約26 ヘクタールの広大な敷地に新幹線の車庫と整備工場が併設しています。
今回公開されるのは整備用のこの区画。

イベント用に何本か臨時列車も運行していました。マイカーの方は、EIZOや金城大学の駐車場が利用でき、シャトルバスも運行していたようです。

車両を搬入したスロープを上ります。

会場には大勢の人が。

トラバーサーを渡って工場に入ります。

小学生以下を対象に、スタンプラリー。

目次
車体昇降実演
台車検修場にて、車体から台車を脱着するために使用する、昇降装置の実演が行われました。

全般検査中のW4編成の1号車が、6番線にいました。

隣には3号車。

全般検査は本来、前回の検査から3年または120万km走行ごとに実施されるものですが、北陸新幹線は全編成をほぼ同時期に導入したこともあり、そのままでは全編成が同時期に検査の必要が生じてしまいます。

そのため、まだ開業してしばらくしか立っていない編成も順次検査入りしています。W2編成が5月18日から7月9日まで全般検査に入り、現在はこのW4編成が全般検査中です。

まだほんのすこししか走行していないのに、色まで塗り直す必要があるのかという議論もあったそうですが、すべての部品をバラして機材も新品に交換したそうです。

なので車両は再塗装されピカピカ。

この頃のように。

連結面に記載された日付も、「27-10」に書き換えられました。

元は「26-7」。検査が実施された工場の表記も、HITACHIから白総所に変わっています。

W4編成は今月30日に検査が完了し、10月6日に本線試運転が行われるそうです。

W2、W4編成といった偶数編成が全般検査、W1、W3編成は台車検査を実施しているそうです。W4編成の全般検査が終わると、次はW6編成の全般検査に着手するとのこと。

そんな事情で、ちょうど検査中の編成がいたため今回W4編成で各装置の実演が行われました。仮台車を履いています。

白山総合車両所では、在来線の金沢総合車両所のようなクレーンを使って車体を持ち上げる方式ではなく、専用の装置を使用して車体を持ち上げます。

台車が乗った床が、浮き上がります。スピードは、毎秒9mm。1メートル持ち上げるのに、およそ2分かかります。

1つの装置で25トンまでの持ち上げ能力があるそうなので、台車がつながったままのW7系1両およそ44トンを、2台でそのまま持ち上げることができます。

今回は1両のみの実演ですが、この工場では8両同時に持ち上げることができます。ちなみにこの台車の切り離し作業、縁切り作業というそうです。

1メートルまで持ち上げたあとは、横のこの装置が更に1.8メートルまで持ち上げます。1つの装置で10トン。4つ使って1両持ち上げますので40トンの車両を持ち上げることができます。この装置を使うときは台車は切り離します。


トラバーサ実演
車両を移動させるトラバーサの実演が行われました。

こちらで使用されるのもW4編成の2号車

ゆっくりとトラバーサを移動します。



台車検修場
台車の検査・修理を行う施設です。18ヶ月に1度の台車検査、3年に1度の全般検査の際に使用されます。

台車が多数並んでいました。

W4編成の物のようです。

ところどころにW6の文字も見えます。これは、W4編成から取り外した台車を、次に全般検査を実施するW6編成に装着するためだそうです。

W5と記載されたものもありましたので、台車検査を実施する奇数編成のローテーション分だと思われます。

台車から外された車輪


空気バネ

セミアクティブダンパ

キャリパーブレーキ装置

主電動機(メインモーター)

ほか、台車用の各種整備装置




台車の洗浄装置


総合事務所公開
事務所の屋上と、1階の食堂が休憩スペースとして公開されました。

屋上からは、仕業・交番検査庫に入っていくE7系F11編成。

さすが開業後だけあって、仕業・交番検査庫には新幹線が頻繁に出入りしていました。

食堂は今回営業しており、利用することができました。

仕業・交番検査庫
5番線にW11編成、4番線にW4編成の12号車~4号車が展示。

1~3番線は実際に稼働中。新幹線が頻繁に出入りしていました。

1~5番線すべてに、新幹線が入線するタイミングも。

仕業検査は、パンタグラフや客室設備、ブレーキなどを目視で点検し、2日ごとに実施します。交番検査では30日以内または3万キロ以上の走行ごとに実施 し、消耗品の交換や車軸の検査などを行います。そのほか前記の工場で実施する18ヵ月ごとの台車検査、車両をばらして検査・再塗装を行う3年ごとの全般検査があります。

全検整備線にはW11編成。

車両の床下が除けます。

W11編成は8月末に陸揚げ・陸送されたばかりのピカピカの新造車両。

10月上旬から営業運転を始めるそうです。現在は車内にスキー客用の荷物棚の設置を行っているとのこと。ちょくちょく本線で試運転する様子が目撃されています。

車体は、まだピカピカのまま。

台車も、まだ元の色が残っています。

ボルトの緩みが分かるように、マーキング

また、ボルトも針金で固定されています。

今回綺麗に1編成展示されていた車両はこれだけです。

先頭車両の前では大勢の人が記念撮影されていました。

なお、車内の展示は今回ありませんでした。



横の台車検修庫とは、こんな感じで隣接しています。

W4編成も記念撮影用に融雪線へ入線

後ろは4号車まで。移動用の保守車両がつながっていました。

1~3番線の交番検査線・仕業検査線には、およそ1時間に1~2本のペースで新幹線が発着。

3番線に入るE7系F11編成。E7系はJR東日本の車両ですが、仕業検査はこのJR西日本の白山総合車両所でも実施します。交番検査以上の検査は、JR東の長野新幹線車両センターや仙台の新幹線総合車両センターで実施します。

東京方面から金沢駅に到着した新幹線は、そのまま「かがやき」「はくたか」として東京に折り返すか、「つるぎ」として富山へ向かうか、この白山総合車両所に回送として戻ってきます。

発着する新幹線を間近で眺めることができます。E7系F10編成。これから、「はくたか」として東京へ向かいます。

「回送」の表示で仕業検査線に入ってくるW1編成。入線前に一度ホーンを鳴らしました。

非常にゆっくりとしたスピートで入線します。

着発収容線庫側。こちらは公開されませんでした。

保守車両
高速確認車

架線保守車。夜間、架線の点検を行います。
テレビの撮影クルーの方に、整備しているポーズを撮らせて下さいとお願いされるも、架線が無いからどうしようと困り果てるお兄さんたちの図。

除雪車

解ぎ装・部品検修庫
前回公開されなかったエリアです。

密着連結器

WPC206形主変換装置

電動送風機

WTM209形周変圧器

非常停止ボタン体験コーナー。

ミニ新幹線コーナー。E6系とかE3系ではありません。

軌道自転車コーナー

車体検修・車体塗装場
こちらも初公開。

整備用のキャットウォーク

車両の塗装を剥がす機械

この奥に塗装場があるそうですが、よく見えず。

先頭車ガラス交換装置

その名の通り、先頭車両のフロントガラスを交換するための装置だそうです。





パネル展示コーナー。JR西日本の新幹線のパネルが並びます。

新幹線グッズ販売

飲食販売
