【小松基地航空祭2022】開催レポート ブルーインパルスやアグレッサー

2022年9月19日(月・祝)、石川県小松市の航空自衛隊 小松基地にて「小松基地航空祭2022」が開催されました。コロナ禍で2020年、2021年と中止が続きましたが、今年は規模を縮小して3年ぶりの開催です。

小松基地所属の303、306飛行隊、アグレッサー、救難隊の飛行に加えてブルーインパルスのアクロバットフライトなどが行われました。

アクセス・駐車場

今年の小松基地航空祭は事前応募制。抽選とのことですが、落選された方を見かけなかったので、ほぼ全員が当選したと思われます。松島基地や三沢基地と、他の基地でも抽選での開催が続いており、コロナが収束するまでは事前登録制での開催となる模様。

駐車場も抽選となっておりましたが、こちらは倍率が高め。駐車場に落選された方々は、小松駅周辺のコインパーキングや、JR北陸本線の各駅の駐車場などを利用したようです。小松駅周辺のコインパーキングは、午前4時までにすべて満車となってました。前日の予行演習は、ひどい路上駐車でした。

台風14号の接近が危惧されてましたが、幸い小松市への影響は航空祭開催までにはなく、中止は免れました。

朝6時ごろの正門前の列。各ゲート合わせるとすでに数千人は並んでたと思われます。

小松駅から基地へのシャトルバスは、30分~90分待ちになっており、体力があれば徒歩で50分かけてきたほうが早く着く状態でした。

午前6時40分ごろ、開門。来場者のQRコードチェックと、検温、手荷物チェック。スムーズに来場できました。よかったのが、鼻出しマスクの来場者に対してスタッフがちゃんと注意していた点。中に入ればアゴマスクが大量にいましたが。

基地に入場。外周から眺めることはしょっちゅうですが、中に入るのは3年ぶり。

スケジュール

いつもは事前に告知がありますが、今年は来場まで告知なし。それでも予行やNOTAMでおおよそのイメージは可能でした。規模縮小ということもあって、午前中までにすべての展示飛行を終えるスケジュールとなってました。いつもみたいに、岐阜基地からF-2が飛んできたりしません。F-4も、この3年の間に全機引退してしまいました。

今年は感染対策のため、基地内で食事は禁止。飲み物のみ許可されていました。そのため屋台は自衛隊グッズとドリンクの売店のみ。

地上展示

地上展示された機体を見て回ります。

今年は外来機(他の基地の機体)はブルーインパルスのみ。

ここ小松基地は、303飛行隊、306飛行隊、アグレッサー合わせて40~50機ほどのF-15が配備された、イーグルネスト。外来機がなくなるとF-15の展示が豊富に。T-4も数機いるはずですが、ブルーインパルス以外のT-4の展示はありませんでした。

アグレッサー(飛行教導群)のF-15DJ 5機。

アグレッサー部隊は、訓練の仮想適役となる部隊で、区別しやすいよう各F-15にそれぞれ異なる独特の模様が描かれています。2022年9月現在、8機のF-15DJが配備されています。

F-15DJ #076

F-15DJ #094

F-15DJ #093

F-15DJ #082

F-15DJ #090

アグレッサーにはあと新色の#092と黒色の#096、#095の3機がいます。#095は塗装が落とされて格納庫で展示、#092と#096はRWY06側のアーミングエリアで機動飛行の予備機?として待機していたようです。

ブルーインパルス T-4 7機。

前日18日の朝8時に松島基地を離陸。9時前に小松基地に到着しました。どの機体も、めずらしくパイロンがついたまま。そもそも松島基地からの展開時に、いつもはノータンクで飛来するのにタンク積んできました。どうも来週23日(金・祝)の西九州新幹線 開業イベントに参加するため、松島基地に帰らずリモート元の築城基地にそのまま飛んでくようです。

1番機 #693 名久井KNUCKLE隊長、後席 川島BENGALさん。

2番機 東島GANGさん

3番機 #690 鬼塚SANJIさん、後席 林KOH総括班長。3番機TRの藏元さんはナレーション担当。

4番機 #666 手島IKKIさん

5番機 #686 江口GUCCHIさん、後席 藤井さん

6番機 #694 眞鍋LANCEさん、後席 加藤さん

予備機 #790

306飛行隊 特別塗装機 F-15J #951

映画 トップガン マーヴェリックと公式にコラボした機体です。

トムクルーズ演じるマーヴェリックが、トップガンに帰ってきて教官を務める際に隊長機として搭乗していたF-18の塗装を、F-15Jに描いています。パイロットの名前も、「CAPT PETE MITCHELL “MAVERICK”」

「トップガン」はアメリカ海軍の全国の選りすぐりのパイロットを集め、戦闘訓練を行い更なる技術の向上を図る教育機関ですが、ここ小松基地にも同様の部隊があります。

306飛行隊はTAC部隊としての任務のほか、ファイターウェポンこと戦技課程を実施する部隊で、全国の戦闘機パイロットのさらなる技術向上に向けた教育を行う任務を担っています。ファイターウェポンです。「ベストガイ」ではありません。

303飛行隊 特別塗装機 F-15J #817。303飛行隊の機体の地上展示はこの1機のみ。ほかは全部RWY06側の掩体地区にいたものと思われます。

部隊マークであるドラゴンをモチーフにしたデザインです。

「龍」の文字は書道家の金森江仙さんが書かれた文字

垂直尾翼の裏側には、303飛行隊に所属するパイロットのTACネームや整備員の名前の一覧。

今年はこの2機がメインとなりました。

F-15J #960

F-15J #963

展示されるのは新しめのF-15MJばかり。F-15SJはスぺマのみ。

F-15DJ #085

小松救難隊 UH-60J #611。先日のクロスランドおやべヘリコプター防災防犯フェスティバルで展示されていた機体。

F-15J #958

F-15J #914

F-15J #918

F-15J #911

小松救難隊 U-125A #028

小松救難隊 UH-60J #607

航空祭の展示ではありませんが、ゲートガードとなったF-4EJ改 #404。2020年にF-4はすべて退役。残念ながらコロナ禍でイベントはありませんでした。百里基地や岐阜基地に配備されていた機体が全国各地の自衛隊基地などにラストフライトを行い、各地で展示されています。

ここ小松基地もかつてF-4EJを運用しており、#404がゲートガードとして展示されることになりました。垂直尾翼は左右で303飛行隊、306飛行隊の部隊マークが貼られています。当時の部隊マークのサイズではありませんが、そこはご容赦くださいとのこと。

格納庫内。306飛行隊 F-15DJ #098が油圧動作展示

アグレッサー部隊のF-15DJ #095がミサイルを取り付けた状態で展示。塗装が落とされてました。まもなくIRAN入りでしょうか。

F-15J #962はコックピット展示

F-15J用エンジン F100-IHI-220E

AAM-3とAIM-7とAAM-4とAAM-5の模擬弾

飛行教導群 ブース。パイロットと記念撮影。

2019年と同じパネル。黒く塗りつぶされている箇所は、「来年トップガンの続編が公開される」的なことが書いてありました。なお、今年はいつもの塗装人気投票なし。「コロナなのでシールはちょっと・・」とのこと。

306飛行隊ブース

TOPGUNコラボ塗装の経緯

WEAPONS SCHOOLの解説

ゴリラでもわかる306SQ

306飛行隊のパイロットのみなさま

マーヴェリックがかぶっていたヘルメットを再現。記念撮影コーナー。

自衛隊ではありませんが、航空学園ブース。今年の能登空港キャンパスでの航空祭は、10月15日~16日。90周年(うろ覚え)なのでいつもより豪華なフライトになるとのこと。

JALブース。グッズ販売。

小松空港を離発着する民間機に合わせて、JAL/ANAがアナウンスを流します。JALブースで「JTAはジンベエザメがきますよ~」とお姉さんがおっしゃってましたが、飛来したのは航空祭終了後でした。なお、午後の遅い便は台風の影響で欠航となっています。

JAL/ANAどちらも特別塗装系は無し。ANAは鬼滅の刃ジェットとか飛ばせばいい宣伝だったと思うのですが。

飛行展示

2019年は会場に入らず、空港側から眺めてました。空港側からは「背中」が撮れますが逆行。今年はちゃんと基地から眺めます。順光ですが「腹」ばかりになります。

オープニングフライト

エプロン地区にさっそうとやってきた306飛行隊のARROW隊長(右)とGENIE(左)さん。

集まった皆様にお手ふりいただきました

F-15Jに搭乗します

ヘルメット装着。306飛行隊の皆様は、近代化改修されたF-15MJを運用していますので、ヘルメットもJHMCSを使用。オフボアサイト能力のあるAAM-5と組み合わせれば、後ろにいる敵にミサイルを打つことも可能。

306飛行隊長。306ブースの紹介パネルに「童顔」と書かれてました。

JFS(APU)の音が響きます。

エンジン始動。こんな近くで見る機会もあまりないので、なかなかの迫力。イヤーマフがないと、耳に障害が残りそうなほどの甲高い音。

303のスぺマ機に続いて、タキシング開始

朝はRWY06がアクティブでしたので、4機がそちらに向かいます。

303飛行隊のスぺマ機が離陸。パイロットは303飛行隊のイノウエ GOLGO隊長

滑走路端で機種を引き起こしてハイレートクライム。小松基地の展示飛行は会場に背中を向けてくれない感がありますので、貴重な撮影ポイント

続いて303SQのF-15J #834 タケウチCOOKIEさん。

さきほどの306SQ 隊長のF-15J #911

4機目 F-15J #918

会場周辺の天候偵察を実施。9時までホールド。

午前9時。オープニングフライト。4機 ダイヤモンド隊形で会場上空をフライバイ。今年は大編隊は無し。

オープニングフライトを実施した4機は着陸。スぺマは地上展示。

ノーマルF-15J #834は303飛行隊が所在する掩体地区へ

306SQの#911と#918は元の位置へ。このあとなぜかGENIEさんが306飛行隊長に腕立て伏せさせられていました。トップガンマーヴェリックのシーンのオマージュだと思われます。

機動飛行

303飛行隊と306飛行隊のF-15J 1機づつ、2機で実施

303SQ F-15J #869 アリムラTENさん

トップガン マーヴェリックのスペマ F-15J #951。ハイレートクライムで離陸。ちなみにエプロンからタクシーアウトする際には、整備士が艦上機でもないのにあのポーズしてました。

パイロットはトムクルーズではなく、306飛行隊のGORIさん。

機動飛行、会場からは「腹」中心になります。

背中は前日までの予行で抑えましょう(9月13日撮影)

303SQのハイレート

いったんJALのボーイング767の離陸のため中断

日本海側へ向けて旋回する際に背中を撮影すると、かなり遠め。背中を狙うなら空港駐車場や航空プラザに行かなくてはいけません。ここ数年は築城基地のGEOSさんをはじめ、マニア向けに会場に背中を向けるよう飛行プログラムを組んでくれることが増えてきましたが、小松では地形の関係なのか日本海側への旋回ばかりとなってます。以前築城基地でジオスさんに小松基地でもこんなフライトが見たいですと聞いてみると、小松は陸地に市街地があって難しい・・・との回答。

現在少し古めのF-15SJを運用する303飛行隊ですが、数年後にはF-35への置き換えが始まります。今のようにスぺマを描いたり、イーグルだらけの航空祭が楽しめるのも、今のうち。

ただ機動飛行や大編隊は三沢基地でもF-35で元気に実施しているので、その辺は柔軟に運用できるようです。

マーヴェリック機も着陸

この塗装も、航空祭終了後にはすぐに落とすそうなので、今のうちに目に焼き付けます。

撃墜マーク3機。初代トップガンでマーヴェリックが撃墜した「ミグ」ことF-5のシルエットでしょうか?

フライトを終えたトム・クルーズ・・・ではなくGORIさん

救難展示

UH-60JとU-125が離陸

U-125Aが要救助者を発見。支援物資を投下。

会場正面の要救助者めがけて救難員が降下

機体に収容します。

ブルーインパルス

ブルーインパルスのフライトです。小松基地には砺波チューリップフェアや高島市での展示飛行などへのリモート、九州あたりへの展開時の燃料補給でちょくちょく飛来してましたが、小松基地で展示飛行を実施するのはやはり3年ぶりです。

コロナ禍の間はオリンピックなどでのフライトなどを実施していたものの、編隊飛行のみの5区分が中心で、アクロバット飛行を実施する1区分を見る機会はすっかり失われてました。

1~4番機がインディビジュアルノーマルテイクオフで離陸。ダイヤモンドダーティーローパスで会場へ

5番機ローアングル・キューバン

6番機 ロールオン・テイクオフ。5番機とは別に離陸。

ファンブレイク。からの5番機 天候偵察。SKC 1区分

チェンジ・オーバー・ターン

 

カリプソ

レイン・フォールはレベル・サンライズに変更

スタークロス。ちょっと風が強め。雲も接近しており、いくつか科目の変更や省略が行われました。

デルタループ

コークスクリュー

パイロットサインコーナー。リモートでは現地に展開したブルーコントロールの数名しかパイロットがいないので、全パイロットや整備士が揃うサイン会を眺めるのも久々です。

アグレッサー機動飛行

今年はブルーインパルスの後にも飛行科目があります。#094が離陸。予行は今年の新色#092で実施していたのでてっきりそちらがお披露目かと思いましたが、#094と#076で実施。

#076がナイフエッジ。背中を向けてくれる貴重な科目です。

ただ基本は「腹」です。

着陸。以上をもって飛行科目は終了しました。

他の科目でもそうですが、RWY06に降りてくれると、タクシーバックするシーンがかっこよく撮れます。今年は展示される機体が少ないため、有料観覧席に行かなくてもグランドレベルの機体が撮影しやすくなってました。

「ようこそ小松基地へ」

今年1月には、アグレッサー部隊の隊長らが搭乗する機体が墜落するという、悲しい事故がありました。ですがそれでも小松基地航空祭が開催できたことに感謝です。

「お気をつけて」

撤収

珍しくFDAが下りてきました。チャーターフライトだったようです。

タクシー待ちの列と、JR小松駅や駐車場へのシャトルバスの列。1時間以上並んだようです。

シャトルバスへは長蛇の列。あきらめて歩く人も大勢いました。小松駅でも入場規制が実施され、皆様が帰宅されるのはさらに遅い時間になったでしょう。さらにこの日、台風の影響でサンダーバードは午後運休。無事に帰れたでしょうか。

北陸自動車道の小松ICへの渋滞。高速道路へ入っても、リニューアル工事の影響で車線規制があり、渋滞となっていたようです。

来年の小松基地航空祭2023にも期待です。