2016年9月19日(月)、石川県小松市の航空自衛隊 小松基地にて、「小松基地航空祭2016」が開催されました。
小松基地には2016年6月、宮崎県の新田原基地より航空自衛隊最強部隊として知られる「飛行教導群」通称アグレッサー部隊が移転し、およそ50機のF-15J/DJ戦闘機が配備される有数の基地となっています。航空祭でもF-15 3飛行隊の編隊飛行・機動飛行やブルーインパルスの展示飛行が行われました。
あいにくの雨模様で来場者は7万2千人と去年の14万人の約半数の来場者となりましたが、会場に訪れた大勢のファンを魅了しました。航空祭の様子です。
公共交通機関の場合、JR小松駅から北鉄によるシャトルバスが運行しています。車の場合、小松基地に駐車場は用意されていませんので、コマツ粟津工場やJBUSがある串工業団地の臨時駐車場や、コマニーなどがある鉄鋼団地の臨時駐車場を利用します。臨時駐車場からは、同じくシャトルバスを利用します。例年渋滞でシャトルバスがオープニングフライトに間に合わないなんてことありましたが、今年は交通規制を実施しシャトルバスや関係車両がスムーズに移動できるようになっていました。雨で来場者数が大幅に減ったこともあってか、駐車場の状況、渋滞、シャトルバス待ちの列はそれほど混み合っていませんでした。
会場入り口では今年は手荷物検査を実施。
台風16号と重なるのではないかという予報が出たり、前日のブルーインパルスの予行演習や慰霊飛行が中止になったりと天気が非常に心配でしたが、早朝土砂降りだったものの9時前には雨もやみ、来場者も徐々に増えてきました。
エプロンも、今年は例年と比べると人は少なめです。
小松空港デッキの様子
目次
オープニングフライト
7時45分ごろより、オープニングフライトが始まります。
303飛行隊、306飛行隊から2機づつF-15Jが上がります。フォーメーションテイクオフはせず、単機での離陸。
F-15J #852
F-15J #837
F-15J #916
F-15J #959
フラップ、エアブレーキ、アレスティングフック、ギアを展開し、ダイヤモンド隊形で会場上空を通過。
アローヘッド隊形で再び会場を通過。このあと2機づつコンバットピッチでブレイクし着陸しました。
303飛行隊機動飛行
303飛行隊のF-15J戦闘機2機による機動飛行です。
303飛行隊の航空祭記念塗装機 #859。303飛行隊エンブレムのドラゴンを機首に描き、尾翼には竜の爪と闘龍の文字が描かれています。
#897とフォーメーションテイクオフ
雨で視程が低い中、ハイG旋回など様々な軌道を見せてくれます。
残念ながら悪天候でいくつかの演目がキャンセルになりましたが、この天気の中激しいフライトを見せてくれました。
306飛行隊 機動飛行
306飛行隊のF-15J戦闘機2機による機動飛行です。記念塗装機の#866と#906
TACディパーチャーで2機が離陸します。
雨で暗いこともあって、アフターバーナーが映えます。
戦闘機は基本的にエプロン上空は飛行せず、小松空港を中心に旋回するので、エプロンからは背中はなかなか見えません。
今年306飛行隊は創隊35周年、尾翼には記念のマークが、機種にはイヌワシのイラストが描かれています。
救難展示
小松救難隊による救難のデモンストレーションです。UH-60J #572からメディックが降下するデモ。予行ではパラシュート降下も行っていましたが、さすがにこの雨風では中止になったようです。
U-125A #028。洋上迷彩カラーのU-125Aは航空祭では初お披露目となります。
編隊飛行
303飛行隊、306飛行隊、飛行教導群からそれぞれ4機づつあがり、上空で12機の大編隊を組みます。12機のF-15J/DJが一気に離陸する様子も見どころ。
まずは306飛行隊。F-15DJ #087。この機体が大編隊の隊長を務めます。前席で操縦しているのは306飛行隊の「VENOM」隊長。
F-15J #943
F-15J #916
こちらの機体、パイロットは元ブルーインパルスの「チャクラ」さん。現在は306飛行隊で、ワッペンを見る限りファイター・ウェポン課程の教官をされているようです。手はいつものポーズ。
F-15J #959
303飛行隊。F-15J #852
F-15J #837
F-15J #889
F-15J #829
最後にアグレッサー。アグレッサーは今年新田原基地から移転したばかりで、小松基地航空祭でフライトを行うのがこれが初めてとなります。
F-15DJ #090
F-15DJ #088。
F-15DJ #095
F-15DJ #098
12機体の巨大なデルタ隊形で会場上空を通過。
続いて部隊ごとにアローヘッド隊形で会場上空を通過。
そしてアグレッサー以外の部隊が着陸しました。
F-2展示飛行
F-2Aの展示飛行が始まります。
岐阜基地のF-2A #553が会場上空へ飛来。
対地攻撃のデモなどを実施
今年、F-2は地上展示無し。F-2を見れたのはこのフライトのみとなりました。
翼を振ってバイバイのポーズ。岐阜基地へ帰還しました。
アグレッサー機動飛行
編隊飛行後上空待機していたアグレッサーが会場上空へ戻り、機動飛行を実施します。
アグレッサーは複座のF-15DJを使用します。後席を用意するために、電子戦用の設備であるJ/ALQ-8を省略しているので、胴体下にAN/ALQ-131電子戦ポッドを装着しています。
ナイフエッジ。この塗装を会場に存分にアピールしました。
ハイレートクライム
短い間でしたが密度の濃いフライトを実施しました。
元々塗装が派手なアグレッサー、航空祭用のスぺマ機は特にありませんでしたが、増槽には「HELLO KOMATSU」という文字が書かれています。
#098のコックピットには、ポスターが貼られていました。
ちなみにこの後、前日の横田基地日米友好祭で展示されていたF-15J #952が小松基地へ帰投してきました。
民間機
小松基地は小松空港と滑走路を共用しています。展示飛行の合間合間に民間機が離着陸していきます。会場では航空会社のスタッフが待機し、離着陸のたびにアナウンスが流れます。
ANA ボーイング767-300 JA605A
JAL ボーイング737-800 JA326J。
JAL ボーイング767-300 JA8976
ANA ボーイング777-200 JA703A。北陸新幹線開業で777が小松にやってくることも少なくなりましたが、航空祭需要で機材変更になったのでしょうか。
ANA ボーイング737-800 JA83AN
IBEX CRJ-700 JA12RJ。IBEXの機材では一番新しい機体です。
地上展示
地上展示されていた機体を紹介します。
T-7 #926
C-130 #083
U-4 #254
T-4 #677
U125A #027。洋上迷彩のU125Aは現時点でこの#027と#028のみ。
UH-60J #601
F-4EJ #409。岐阜基地ADTWから。F-4EJ改ではない、数少ないノーマルF-4EJです。
RF-4EJ #380。百里基地501飛行隊から。
T-400 #052
F-15J #961
さきほど機動飛行を行ったF-15DJ#090
F-15J #866。機動飛行後、機種に#306の番号をかぶせていました。
インターコム操作パネルにはF-4のイメージキャラクター「スプーク」が描かれています。306飛行隊が元F-4部隊だったことに由来します。
F-15J #859。
エアインテーク横にはスプレーガンを持ったドラゴンが描かれています
航空祭終了後に303飛行隊のパイロットが集まって、記念塗装機の前で記念撮影していました。
T-4 ブルーインパルス。今年は予備機#731も飛来しました。
格納庫へ。
F-15 #907。後方警戒レーダーが搭載された機体です。整備士さんがギアやフラップ、スポイラーの動作を解説付きで実演されています。
F-15DJ #089。
この機体ではF100エンジンの脱着実演が行われていました。
機体横では武装展示。20mmバルカン。
AAM-4やAAM-5ミサイル
F-15J #965ではコックピット展示。
アグレッサーのF-15DJ #083でもコックピット展示。
コックピットまでのQラインで機体を間近で観察できます。
この機体の増槽にも「HELLO!!KOMATSU」の文字。そしてAAM-5を装着。
お背中
バルカン砲。随分綺麗です。他の機体は打った際のすす汚れがついています。
コックピット横で記念撮影はできますが、コックピット内部は撮影禁止です。
ちなみに、アグレッサーの塗装人気投票も実施されていました。
救難格納庫へ
T-4 #619。機種の前ではお子様限定パイロットスーツでの記念撮影コーナー
UH-60J #593
救難装備品展示
軽装甲気動車や 短SAM 81式短距離地対空誘導弾、VADSなど。
大型破壊機救難消防車
金沢工業大学の人力飛行機。鳥人間コンテストに出場する機体です。
このほかグライダーの展示飛行が予定されていましたが、キャンセルとなったようです。
お昼
10万人を超える来場者に対応するために、飲食店も多数出店しています。お昼時にはどこも行列となっていました。
また、Tシャツやカレンダー、お土産など各種グッズも多数販売しています。
話題の「爆音米」も。F-15の爆音を聞いて育ったお米です。
ブルーインパルス
今年は6月に輪島市民祭りでブルーインパルスの展示飛行を実施。石川県での展示飛行は今年2回目となります。天候が天候だけに開催が危ぶまれましたが、5区分+4区分後半という形で展示飛行が実現しました。
1番機は稻留隊長。
ウォークダウンを前に整列。宙返りすることの多い5番機パイロットの帽子は番号が逆さなのも注目です。
12時30分、ウォークダウンが始まります。
Gスーツを装着
T-4に搭乗。
エンジン始動
ブルーインパルスがフライトするころには、エプロンも混雑しだします。
タキシング。RW06へ向かいます。
1番機 #726
2番機 #728
3番機 #787。この機体、小牧でモスボールされていたレッドインパルスカラーのT-4を改修し、今年新しくブルーインパルス用として配備した機体です。津波で松島基地にいたブルーインパルスの機体が1機水没してしまいましたが、これで元の9機体制に戻ったようです。
4番機 #729
5番機 #730
6番機 #805。6番機パイロットの橋本さんは、このフライトがブルーインパルスとしてのラスト展示飛行となります。
まずは、5番機のみが離陸。会場の天候を調査します。会場周辺の雲の高さ、視界を無線で報告していました。それを受けて隊長が実施する演目を決定します。
4機がダイヤモンド隊形で離陸
6番期も続けて離陸し、先に離陸した5番機とも合流してデルタ隊形を作ります。
天候の関係で、アクロバットや垂直系の演目は実施せず、編隊飛行を中心とした展示飛行となりました。
さまざまな隊形を組んで会場上空を飛行します。
ここから4区分へ変更。ラストフライトとなる6番機橋本さんの見せ場を作るための隊長の配慮でしょうか。
6番機によるスローロール
5番機、6番機によるコークスクリュー
そして全機着陸しました。
帰投
他の基地からやってきた機体が帰還します。
F-4EJ、翼をフリフリし別れの挨拶をしながらの離陸でした。
T-400
U-4
あいにくの天気でしたが、皆さまできる限りのフライトを見せてくれました。