【小松基地航空祭2023】開催レポート アグレッサーや室屋選手アクロバット

2023年10月7日(土)、石川県小松市の航空自衛隊 小松基地にて「小松基地航空祭2023」が開催されました。規模縮小だった去年からパワーアップし、入場制限の撤廃と、午後までの開催で例年通りの規模になりつつも、F-35の展示やエアレースパイロット室屋義秀さんのアクロバットフライトなど例年にはなかった催し物が多数開催されました。

例年9月の3連休に実施されてましたが、今年は小松基地でイタリア空軍やオーストラリア空軍が8月~9月に実施されていたためか、10月の3連休に移動。ブルーインパルスが鹿児島国体と日程が重なってしまい小松基地には不参加となりましたが、それでも大勢の来場者となりました。

アクセス・駐車場

浮柳地区、小松駅周辺、鉄鋼団地、串工業団地に無料の駐車場が用意されています。一部を除き駐車場かららは北鉄バスのシャトルバスが運行していますが、往路それぞれ1時間ほど並ばないといけないのと、会場までの時間を考えると1時間会場まで歩いたほうが早いケースもあります。公共交通機関の場合、JR小松駅からもシャトルバスが運行しています。

午前5時半ごろの開門待ちの列。今年はブルーインパルスが来ないので、最前列確保などそこまで急ぐ必要はない気もしますが、マニアは朝早くから集います。

朝7時に前倒しで各ゲートが開門。手荷物検査を受けて入場します。今年はマスク着用のルールが撤廃されました。

シャトルバスの運行開始は7時から。シャトルバスも早めに並ばないとオープニングフライトの離陸がギリギリだったという報告もあります。

会場案内・スケジュール

会場のスケジュール、催し物。旧管制塔の公開など、これまであまりない取り組みが多数でした。

会場内へ。正面ゲートは退役したF-4EJファントム #404がお出迎え。

朝は冷え込みましたが、晴れてきて日が差すと暖かい天気となりました。青空部分も多く、航空機が映えます。

飲食制限も解除され、屋台が多数並びました。なお、ごみ箱は設置されていなかったので持ち帰る必要がありました。

今年の来場者は5万人。10万人を超える例年よりも少なめです。ブルーインパルスがいない分、家族連れや女性客が少ない印象でした。相対的にマニアやファンが目立ちました。

地上展示

今年は地上天地が豊富です。初めて展示される機体も多く、ブルーインパルスがいない分、盛り上げてくれました。

C-2 #212。美保基地 第403飛行隊から。

C-2は機内が公開されていました。

海上自衛隊 P-1 #34。就役してから結構な期間が経過しましたが、何気に小松基地航空祭で展示されるのは初。

海上自衛隊 U-36A #04。全機運用停止になることが決まっており、この機体も退役が間近だそうです。

CH-47J #496。入間基地から。

海上自衛隊のUS-2 #01。岩国基地から。初号機がやってきました。

ここからF-15が11機。格納庫の4機も合わせると、15機のF-15が展示されました。今年はブルーインパルスがいない分、前面にF-15が多数並びます。

アグレッサーは現在配備中のF-15全9機のうち、5機を展示。

F-15DJ #087。アグレッサー。2023春の新色。

F-15DJ #087。アグレッサー。2022冬の新色。

F-15DJ #092。アグレッサー。2022秋に塗装。

F-15DJ #096。アグレッサー。2019秋に塗装。

F-15DJ #082。アグレッサー。2020夏に塗装。

F-15J #897。303飛行隊。2023年8月30日~9月中旬まで、小松基地でオーストラリア空軍との共同訓練「武士道ガーディアン2023」が実施されました。その訓練の記念塗装を、航空祭まで落とさずに残して、展示してくれてます。

F-15J #897。306飛行隊。2023年8月4日~10日、小松基地でイタリア空軍との共同訓練が実施されました。こちらもその際の記念塗装がそのまま展示されています。

そのほか展示されていたノーマル塗装F-15は、303SQ #058(DJ)、303SQ #813、306SQ #906、306SQ #935、306SQ #941、306SQ #962の6機。

Extra EA-300LC JA111Y。室屋さんの機体。以前はレスサスカラーのJA111Fに乗ってましたが、ブライトリングカラーの機体に変わってました。

U-125A #015。小松救難隊。

UH-60J #611。小松救難隊。

U-4 #253。入間基地から。

P-3C #77。海上自衛隊 下総航空基地から。

SH-60K #20。海上自衛隊 舞鶴航空基地から。

T-4 #667。アグレッサー所属。

F-2A #520。百里基地 第3飛行隊。

F-2A #502。岐阜基地から。試作2号機。

ASMなど、フル装備でやってきました。岐阜基地以外ではなかなか見ることができない光景です。

F-35A #718。三沢基地 第302飛行隊。

F-35が小松基地で展示されるのは初めてです。航空自衛隊向けはすでに38機が生産され、他の基地の航空祭では最近よく展示されますし、小松基地にも飛来するようになりましたが、ほとんどの来場者が初めて見るステルス戦闘機。大勢の人だかりとなっていました。近いうちに小松基地の第303飛行隊も、F-15SJからこのF-35に機種変換が行われる予定です。

T-7#926。静浜基地から。

UH-1 #85。陸上自衛隊 明野駐屯地から。

F-15J #951。こちらは格納庫内でコックピット展示。

F-15DJ #098は油圧作動展示。

F-15J #900の前でAAM-4などのミサイルを並べて武装展示。

F-15DJ #077。コックピットの前でフライトジャケットを着ての記念撮影コーナー。

毎年恒例アグレッサー塗装人気投票。去年はコロナ対策のため実施されませんでしたが、今年は復活しました。早朝に撮影したのでこの写真を撮影した時は投票数が少なめでしたが、昼過ぎには配布物が無くなって片付けられていました。1位 #096 170票、2位 #087 117票、3位 #090 108票とのことです。ここにエントリーした7機のほか、アグレッサー部隊には塗装が落とされた#093や、最近IRAN明けでまだ未塗装な#095がいます。#090、#097は今年展示されませんでした。

「こまつきちあいどる部 306TFSQ 人気投票」。飛行隊に所属するパイロットとTACネームの一覧を公開するのは、全国的にも珍しい試み。人気投票の結果は、1位 “SHATE”さん149票、2位 “EAGLE”さん84票、3位 “RYU”さん67票でした。RYUさんは去年までブルーインパルスの2番機に乗っていた方で、もともと303SQでしたが、小松に帰ってきていたようです。

303SQのブースにも隊員の紹介パネルがありましたが、そちらは撮影禁止でしたので紹介は割愛。

教えて!306パイロット。パイロットへの質問コーナー

面白い取り組みです。一般の方の期になる質問や、マニアの方の絶対答えてはいけなさそうな質問まで、パイロットの皆さんが面白く、はぐらかしたりしつつ、回答されていました。

ほくりくアイドル部のライブ・撮影会。いつものユニフォームや、パイロットスーツを着ての撮影会が行われました。以前は北國フォトクイーンのお仕事でしたが。

ブルーインパルスJr.。松島基地で、バイクを使って地上でアクロバット飛行(?)を行う部活動です。松島基地以外で展示されるのは最近は珍しめ。

本家のブルーインパルスはドルフィン(イルカ)ですが、こちらはシャチ。隊員さんに理由を聞いたところ、「本家を食ってやる」と意味を持たせて仙台の方々が決めたそうです。

展示飛行

今年は303飛行隊がいる掩体地区からの上りは数機で、ほとんどの機体がエプロン地区からのスタート。航空機のエンジン始動等の様子を間近で見ることができます。

小松基地は軍民共用の空港。民間機が離着陸する時間の遅れなどに合わせて、展示飛行の時間を当日調整します。ANAはこの日、鬼滅の刃塗装のJA616Aを飛ばしました。

JALはノーマル塗装。せっかくなら小松にもよく来るJTAのジンベエジェットや、ディズニーカラーの機体を飛ばせばいいのですが。

天候偵察

早朝、T-4 #652 が単機で上がって基地上空の天候を調査。

オープニングフライト

目の前にならんだ多数のF-15がエンジンスタート。滑走路に向かいます。この日はほぼRWY24運用で、上りがよく見えました。F-15は10機すべてハイレートです

まず303飛行隊の4機。F-15 #897。パイロットは303飛行隊の隊長”GOLGO”。

F-15JD #058。”土龍”、”BARON”

F-15J#837。”弁慶”。

F-15J #896。”大蛇”。

306飛行隊。#963は306飛行隊の隊長”ARROW”

F-15J#935。”FORTE”

F-15 #941。”87″

F-15 #962。”SABEL”

F-15DJ #082。アグレッサーはTACネームを聞きそびれました。

F-15DJ #096

303飛行隊のダイヤモンド隊形

306飛行隊のダイヤモンド隊形

アグレッサー

小松救難隊のU-125A #015

小松救難隊のUH-60J #603

303飛行隊のエシュロン隊形

306飛行隊のエシュロン隊形

アグレッサー

小松救難隊の2機。U-125Aはほぼ最低速度、UH-60Jは最高速度と、ヘリとジェット機で編隊飛行となっています。

F-15各飛行隊から2機づつ、6機でエシュロン隊形。

1機づつコンバットブレイクし着陸しました。

救難展示

救難隊はそのまま展示飛行です。U-125Aが地上にいる要救助者に向けて物資を投下

UH-60Jからメディックが降下し、救助者を担架で釣り上げます。

アグレッサー機動飛行

F-15DJ #087と#070の2機で機動飛行。

会場正面でパッカン

アグレッサー部隊は全国の精鋭パイロットが集まる舞台。訓練でTAC部隊の敵役を務めるため、区別がつきやすいよう迷彩柄のような識別塗装が施されています。

機体によって役割が異なるため、それぞれ塗装の色やパターンが異なります。パイロットや整備士のアイディアから、趣旨に見合ってカッコいいデザインを選定します。

複座型であるF-15DJは、後席のスペースを確保するために、コックピット後方の電波妨害装置「J/ALQ-8」を省略しています。そのため外付けの電波妨害装置「AN/ALQ-131」を胴体中央に装着しています。

小松基地は会場裏側に小松市の市街地があり、基本的にはそちら側に飛行しません。そのため会場正面の日本海側に向けて旋回することが多く、会場からは機体のお腹側を見ることになります。

マニアは会場に入らず、機体の背中を撮影するために空港駐車場や航空プラザ横の農道などから撮影しています。今年は予行演習でその写真を撮影済みなので、会場から撮影しています。

ナイフエッジ。会場から機体の背中を撮影できる、ありがたい演目です。

着陸後、ふたたび会場正面のエプロンへ。F-15の転がりをグランドレベルで撮影できます。

303飛行隊機動飛行

パイロットと列線整備員の皆さん。

パイロットの搭乗とエンジン始動、タキシング開始まで、間近で楽しみます。

本日の演目のお品書き。築城基地8SQのジオスさんから、各基地に広まった印象。

F-15J #897″禅”とF-15DJ #058″JUSTIN”の2機で編隊離陸からの海上正面でパッカン

ノーマル塗装の背中はここが見せ所でした。

ハイレートクライムしつつ洋上へ

オーストラリア空軍共同訓練 記念塗装でナイフエッジ。

翼をフリフリ。左右に機体を傾けてくれると背中が撮影しやすくなります。

室屋義秀アクロバットフライト

室屋義秀さんが小松基地で曲技飛行を行うのは初めてです。

上空でエンジンを停止して真っ逆さまに落ちてくる動きなど、観客からおお~と声が上がりました。

ハートマーク。単機で描きます。

ブルーインパルスが不在なこの日、スモークを出す機体はこのエクストラのみ。皆様室屋選手のフライトに見入ってました。

明日からAIR RACE Xに参戦。忙しい時間の中小松基地航空祭を盛り上げてくれました。

フライトを終えた室屋選手。

306飛行隊機動飛行

最後のトリを飾るのは306飛行隊。

F-15J #963 “G兄”。歓迎会でアラジンのジーニーのパンツをはいていたことから名づけられました。フレンドライクミーをBGMに離陸。

ペアを務めるF-15J #935 “GAINE”。石川県出身のパイロットが、金沢弁の「~がいね」からTACネームが名づけられました。今年の航空祭のナレーションは面白くてよかったです。暴れん坊将軍のBGMで離陸。

#963はイタリア空軍との共同訓練記念塗装。日伊特別塗装機がナイフエッジで背中を見せてくれます。

アフターバーナーの爆音を会場に轟かせます。

2機編隊で会場へ。これは会場裏側で撮影すると映えました。今年はどの飛行隊も、制約の中なんとか映える飛行を見せてくれようという意思が伝わってきました。

2機が会場正面でブレイクし着陸

以上で展示飛行は終了となりました。

帰投

エプロンからは地引網で観客を追い出し、展示されていた機体が各地基地に帰ります。

帰りのシャトルバス、タクシー待ちの列。高速道路までの周辺道路も混雑が見られました。