小松市 航空プラザ 政府専用機の貴賓室を展示

天皇陛下や総理大臣が外遊に使用する政府専用機、2019年にそれまで使用していた「ボーイング747-400」から「ボーイング777-300ER」に更新されました。その旧政府専用機から貴賓室が取り外され、2020年6月6日より石川県小松市の航空プラザで展示されることとなりました。

政府専用機とは

政府要人の輸送や緊急時の邦人輸送などに使用される機体で、1991年に主務機・予備機の2機導入されました。

機種はボーイング747-400

機内には貴賓室や会議室、記者会見のスペースがあります。B747の国内線仕様では500人以上の乗客を乗せることができますが、こちらの機体の定員はわずか150人。飛行機ファンからは、コールサインの「シグナス」と呼ばれています。

「ジャンボ」の愛称で親しまれ日本中を飛び回ったB747もJAL・ANA双方から退役。整備を委託していたJALで今後の整備が難しいという理由もあり、2019年3月に退役となりました。

当初はスクラップになるとの報道もありましたが、他の民間機と比べて飛行時間がたったの1万6千時間と格段に短く、整備状況も良好なため、20-1101(N7474C)はプライベートジェット機へ、20-1102(N7477C)は改修ののち貨物機として使用される予定。2019年6月に離日し、現在はアメリカ アリゾナ州マラナの飛行機の墓場「ピナル・エアパーク」にて、日の丸が消されてエンジンが取り外された状態でその時を待っています。

ただコロナの影響で世界中の航空機が早期退役しているため、実際に売却されるかは不透明な状況となってきました。

アメリカでは同様の機体に、有名なVC-25「エアフォースワン」を運用しています。こちらも2024年にB747-8をベースとした機体へ更新予定です。

新 政府専用機

B777、B787、A350から新機種を選定。2019年より、新しく「B777-300ER」をベースとする機体を導入。

整備の担当は、B747のJALからANAに変更

ANAが整備やキャビンアテンダントの教育を担当するため、同行する記者や随行員が利用するシートは、ANAのビジネスクラスやプレミアムエコノミーと同様のものが搭載されています。以前の機種には無かった機内エンターテインメントやWi-Fiが搭載されました。(写真はANAの民間機)

新政府専用機の「貴賓室」は、保安上の理由から非公開となっています。

B747時代から政府専用機を運航するのは、北海道の千歳基地に拠点を置く第701飛行隊。訓練で全国の航空自衛隊の基地に飛来することもあり、小松にも2020年6月現在、2回飛来しています。

パイロットやキャビンアテンダントはすべて自衛官。ANAで訓練を行います。パイロットは実際にANAの定期便に乗務して訓練を行ったとか。

貴賓室の展示公募に航空プラザが選ばれる

旧政府専用機 2機から取り外された貴賓室を、一般の施設でも展示するとの公募があり、高い倍率の中小松市の航空プラザが選ばれました。入館料が無料だという点が評価されたとのこと。1号機は静岡県浜松基地に隣接する航空自衛隊 広報館「エアーパーク」にて展示されます。

当初はボーイング747の機体をまるごと「あいち航空ミュージアム」、「青森県立三沢航空科学館」、「千歳市」で展示することも検討されましたが、毎年億単位の維持費がかかるということもあって、断念しています。

航空プラザへ

航空プラザへ。コロナの影響で6月5日まで休館となっていました。6月6日より再開。入場は無料。入り口で体温検査と連絡先の記入が必要。

小松市長、市議会議長、小松基地司令、日本航空小松支社長らを招いてお披露目会。新聞社、TV局、航空雑誌各社の取材。

カウントダウンとともに除幕

広さが33平方メートル(約21.3畳)。メディアの方々は中に入って撮影されていましたが、一般客は透明のパネル越しの見学となり、当然座ることはできません。

ボーイング747の1階機種部に配置されていました。コックピット下。民間機なら、ファーストクラスがあるエリアです。

歴代の首相や、天皇陛下が寛がれていました。

航空プラザに展示されるのは2号機(20-1102)。1号機ではなく2号機を主務機として運用することもありました。

2002年にドイツのシュレーダー首相が政府専用機に搭乗した際には、シュレーダー首相がこの貴賓室を使用し、小泉総理は夫人室を利用しました。

一番奥にはベッドにもなるソファが2つ。

モニターでは飛行ルートの表示や映画を上映していました。展示中は点灯していません。

テーブルは打ち合わせや食事に使用。

衛星電話も設置されています。

政府専用機を紹介するパネル

実際の機体には、この後方に夫人室や秘書官席、シャワールームがありました。夫人室は皇后陛下、首相夫人が利用します。

この貴賓室は2年間の無償貸与。2年後には撤去される期間限定の展示です。