北陸新幹線 白山総合車両所の一般公開2019

2019年9月22日(日)、白山市にあるJR西日本の北陸新幹線 整備工場「白山総合車両所」の一般公開が行われました。新幹線開業後から毎年開催され、今年で5回目になります。展示された新幹線との記念撮影コーナーやトラバーサーの実演が行われ、家族連れや鉄道ファンおよそ5000人が来場しました。工場見学の申し込みは特に不要で、入場も無料です。

白山総合車両所へ。一般公開は10時~15時。2時間前から並んでいた強者もいたようですが、整理券などが必要な体験コーナーは1日に何度も実演されるので焦らなくても大丈夫です。

車両基地内に駐車場はなく、金城大学の駐車場を利用してシャトルバスもしくは徒歩で来場します。公共交通機関の場合は、JR加賀笠間駅が最寄り駅になります。

白山総合車両所は全国で4番目の新幹線総合車両基地。敷地面積約26 ヘクタールの広大な敷地に新幹線の車庫と整備工場が併設しています。

JR東日本の北陸新幹線車両は仕業検査と交番検査を長野新幹線車両センターで、台車検査と全般検査を仙台の新幹線総合車両センターで実施するのに対して、白山総合車両所では仕業検査から全般検査まですべての検査を実施します。また、発着線ではE7系/W7系 9編成を収容する車庫のほか、イーストアイ用の車庫も用意されています。

今回公開されるのは整備用のこの区画。

仕業・交番検査、台車検修場、解ぎ装・部品検修庫、車体検修・車体塗装場、総合事務所が対象。

まずは仕業・交番検査庫へ。1番線から5番線まで、仕業・交番検査庫は5編成のE7・W7系が入るようになっています。

1~3番線は一般公開の間も稼働しており、実際に点検作業が行われています。 一般公開の間に検査庫を離発着する新幹線の、時刻と編成番号が公開されています。

仕業検査は、パンタグラフや客室設備、ブレーキなどを目視で確認し、48時間ごとに3人体制で約1時間かけて点検します。交番検査では30日以内または3万キロ以上の走行ごとに実施し、消耗品の交換や車軸の検査などを行います。この2つの検査は、JR西のW7系だけでなく、JR東のE7系に対しても白山総合車両所で実施します。

そのほか隣の検査庫で実施する18ヵ月ごとの台車検査、車両をばらして検査・再塗装を行う3年ごとの全般検査があります。

4番線にはW1編成が入っており、先頭車両との記念撮影コーナーになっています。車内の公開はありません。4番線は融雪線になっており、車体についた雪を落とすため床から温水を噴射できます。水蒸気が他の作業の邪魔にならないよう、ここだけパネルで囲まれています。

5番線にはW3編成。12号車側の先頭車両は同じく記念撮影コーナーになっていました。お子さんらが運転手の制服を着て、敬礼しながら記念撮影されていました。45分ほど並びます。

W3編成は全般検査中。6号車~12号車まではこの5番線に入線していますが、1号車~5号車までは、車両基地のあちこちに点在しています。

この5番線は、足回りのメンテナンスがしやすいように、線路の下に作業スペースがあります。

台車。新幹線開業から4年。もうすっかり茶色に。外から見える灰色の個所は塗装しなおしているとのこと。

車両移動機。この車両で、新幹線を移動させます。仮台車をはいている間は台車自体が自走するので不要。

続いて台車検修場へ

台車の検査・修理を行う施設です。18ヶ月に1度の台車検査、3年に1度の全般検査の際に使用されます。

全般検査中のW3編成の台車のほか、1編成分以上予備が用意されています。台車検査の際は、台車だけを検査済みのものと交換し車両はすぐに運用に復帰します。

台車研修ラインの流れ。今年は昇降機の実演がありませんでした。台車はトラバーサーを使わずとも、回転台で方向転嫁が可能。

工程表

モーターが並んでいました。

手前が先頭車両用のモーターがないT台車。奥が中間車両用のモーターがついたM台車。

ラッセル車の展示

軌道自転車

トンネルの点検車両

架線の点検車両

高速確認車。線路や架線点検後の初列車運行時に、保守作業終了後の線路支障の有無を確認します。

ミニ新幹線。東海道・山陽新幹線の検査を担当するドクターイエロー。2編成ありますが、JR西が保有するT5編成でした。北陸新幹線ではイーストアイが検査を担当しているのでドクターイエローは走行してません。

解ぎ装・部品検修庫。全般検査では、昇降機で台車を外し仮台車になった車両はこちらへ。ここで各種パーツを取り外して車体をバラし、再組み立てが行われます。

こちらにはW7系W3編成の1号車がいました。お子さんらを対象に、新幹線との綱引きが行われました。

W7系との綱引きは初の催し物だったはず。

シートの清掃体験やパンタグラフの動作体験

こちらには4号車と3号車。

床周りのメンテナンス用のパネルを外して、各種装置や汚物タンクなどの展示

仮台車

全般検査がもうすぐ終わりということで、車両には「19-10白総所」の印。

ここでは塗装を終えた車両にパーツを組み立てなおし、各種配線の接続確認が行われます。

車体検修・車体塗装場。車体自体の検査や塗装を行う検査庫です。フードコーナーやグッズ販売が行われていました。見当たらないW3編成2号車は、おそらくこの奥に。

総合事務所へ

1階では鉄道模型の展示

車両基地を訪れた爆笑問題や仲間由紀恵のサインが飾られています。

屋上からは、発着線から検査庫に入るW11編成が見えました。

敦賀まで延伸する新幹線の高架の様子も見えます。昼過ぎから風雨のため、屋上の公開は中止に。

トラバーサの実演。

各検査庫を横に移動する際には、このような装置を利用して車体を移動させます。

仮台車を履いて自走してきたW3編成5号車が、塗装ラインからトラバーサへ。

新幹線の車両基地の一般公開でした。なお松任にある在来線の車両基地は、例年8月末に一般公開が行われていましたが、今年は無し。来年からは5月の開催に変更となります。