尾小屋鉱山資料館・尾小屋マインロードで鉱山探検へ

江戸時代1680年頃より金の採掘が行われ、明治初期より銅山として採掘を開始。一時期日本最大の銅の生産量を誇った小松市の尾小屋鉱山。1971年に閉山され、跡地に尾小屋鉱山資料館設けられています。かつての貴重な資料や、採掘の様子が展示されていたり、実際に鉱山内部を見学できる尾小屋マインロードも見どころです。

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尾小屋鉱山資料館

大倉岳高原スキー場へ向かう道の途中に小松市立ポッポ汽車展示館がありますが、そのすぐ近くに尾小屋鉱山資料館があります。尾小屋鉄道は尾小屋鉱山の鉱山鉄道ですから、関連深い施設なので、ここに訪れたなら合わせてに見学するといいでしょう。入場料は500円。ただしこの日は小松市立ポッポ汽車展示館でキハ3の公開運転が行われており、来場者が多数いたためか無料開放していました。

入り口にはかつて繁栄を誇った尾小屋鉱山の写真と、岩石。山肌を切り開き鉱山関係の施設が点在していましたが、現在はほとんど面影がありません。尾小屋での銅鉱の採掘は天和2年(1682年)にはすでに行われていたと記録が残っています。明治13年(1880年)には正式に採掘が始まりましたが、300年続いた鉱山も1971年に閉山となりました。

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手前に並ぶ岩石は、銅の元になる「黄銅鉱」や「方鉛鉱」、「硫化鉄鉱」など。

合掌枠のレプリカをくぐり、展示施設に進みます。

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岩肌を再現した壁と、採掘に使っていた道具の展示。

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当時の採掘の様子が、写真で展示されています。

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展示施設内部の様子。ここ尾小屋鉱山で採掘された鉱石や尾小屋鉱山の歴史、各種資料が展示されています。

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それぞれの鉱石を、実際に手にとって見ることができます。

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採掘技術の紹介。探鉱、採掘、支保、運搬、排水、照明、送風など各種工程の説明があります。

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坑道の全体像模型。縮尺は1200分の1。この山の中に広大な地下トンネルが蟻の巣のように広がっていることがわかります。総延長は160キロメートルと、東京メトロ 194.6km、都営地下鉄 106.7kmに匹敵する長さです。最上部の坑道から最下部まで700メートルの落差があります。坑道同士をつなぐ立杭も10箇所あり、地下から地上に鉱石が運ばれます。

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地質・鉱脈。断面図があり、坑道が何層にもわたって掘られているのがわかります。

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削岩機。これで岩を砕きます。

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選鉱。構内で採掘した鉱石から、鉱物の混ざっている精鉱と廃石にわける作業です。尾小屋鉱山で行われていた手順と当時の道具が展示されています。

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精鉱から目的の銅などの金属を取り出して、ある程度の純度にする作業が製錬です。

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鉱山麓で製錬された金属を、輸送する手順。鉱山から小松市街地までの20キロを以前は馬車や人力車で輸送していましたが、鉱山発達に伴い尾小屋鉄道が開業しました。尾小屋から旧国鉄小松駅に隣接する新小松駅までを結びます。鉱山閉山後の1977年、廃線となりました。

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製錬する際に生じる鉱煙の被害で、製錬所周辺の山は閉山後も樹木や草が枯死。山腹の土は流され岩石が露出した荒廃地となっていました。昭和47年ごろから住民の生活環境の保全を目的に、緑化事業を石川県が進めました。岩を爆破し土をかぶせる作業を進めていましたが、昭和54年頃からヘリコプターを使った作業をすすめ、昭和60年ごろには緑が戻ってきました。

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企画展コーナー。以前ここの館長を務めていた丸田兀さんの遺族が寄贈されたコレクションが展示されています。

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採掘された鉱石の、最終的な利用のされ方を説明したエリア。銅はコンピュータの部品やメダルなど、様々な利用方法があります。

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2階。古文書の展示。

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尾小屋鉄道の資料もあります。

尾小屋マインロード

資料館を抜けてマインロードへ向かいます。パンフレットなどを受け取らずに資料館に訪れると、順路がわからず帰ってしまいそうですが、このマインロードこそがメインの展示です。

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公園を少し歩くと、マインロード入り口が見えてきます。

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ここが入り口

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坑内のマップ。およそ600メートルあります。前半が明治頃の採掘を再現した鉱山歴史ゾーン、後半は戦後昭和の採掘を再現した近代鉱山ゾーンになります。

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中はじめじめしているものの涼しく、湧き水が出ているためか所々で冷たい水滴が降ってきます。

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気温14℃、湿度72%。地表に近いため涼しくなっていますが、最も深い坑道では年中気温が28~30℃と、劣悪な環境で採掘作業が行われていました。

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坑木がなくなると岩肌が露出します。ディズニーシーのセンター・オブ・ジ・アースQラインや、沖縄の海軍司令部壕のような、そんな雰囲気です。

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展示物やジオラマ。尾小屋鉱山歌。

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更に奥深くへと進みます。写真では明るく見えますが、実際は暗めです。

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木造。坑道の岩盤が柔らかい箇所は、支柱夫とよばれる専門の鉱夫が支柱を組んで坑道を補強します。

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負夫。掘り出された鉱石を鍬で拾い集め、抗口まで運びます。

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水替え。深く坑道を掘り進めると地下水が湧き坑道にたまりました。桶の手渡しなどで排水していましたが、手動ポンプが採用され効率がよくなりました。鉱山は水との戦いと言われています。現代でも上越新幹線の中山トンネルや東海北陸自動車道の飛騨トンネル工事などで大量の湧き水が問題になりました。

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手選(しゅせん)。坑道の外で、採掘された鉱石の仕分け。これは鉱山で働く女性の仕事でした。

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さらにさらに奥へ・・・

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手彫りの再現ジオラマ。このように石頭とたがねによって、堀大工とよばれる坑夫により手で掘られていました。足場が悪いときは先ほどの支柱夫が足場を組んでいました。

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シュリンケージ採掘跡。鉱脈に沿って採掘していく採掘法です。穴が地下深くまで掘られています。絶景です。

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上を眺めると、上にも掘削跡が。

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更に奥へと進んでいくと、ブラックライトが点灯した怪しげなエリアへ・・・。黄銅鉱が酸化するとこんな色になりますが、これは人工的な着色だと思われます。

なぜかアンモナイトやプテラノドンがいます。ここまで真面目な展示だったのに、いきなりファンタジー空間になります。

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鉱山で使用していた泡消火器の展示。

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尾小屋鉱山の歴史。

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後半は昭和の作業を解説。幾分現代的になります。

装薬。爆破するところに開けた穴(さく孔)に火薬・ダイナマイトを詰めます。

発破作業。装薬した火薬を一気に爆破します。点火スイッチという、あやしいスイッチがありましたが現在壊れているらしく何も起こりません。

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運搬用の機関車。バッテリーが動力になります。

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掘削機が登場し、手掘の時代は終わりました。

ボーリング作業。岩石中の鉱石の種類や品質を調べるために、ボーリング機械で深く穴を掘り進めます。先端にはダイヤモンドが取り付けれています。

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見張り所。ここで判座(出退勤カード)を出し入坑の確認、今日の作業指示の確認、打ち合わせを行ってから坑道の先端にある採掘現場に向かい、作業にかかります。

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合掌枠。この枠にもいくつか種類があり、それぞれの解説があります。

出口(当時は入り口)付近には拝殿所。作業員は毎日ここで一日の安全を祈りました。

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600メートルを歩き出口に到達しました。そとから見るとただの山でも、中にはこのような空間が広がっていると思うと不思議な感覚になります。

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以前は福井県の中竜鉱山跡を見学できるアドベンチャーランド中竜という施設もありましたが、2006年に閉鎖されておりここが北陸で唯一整備された鉱山跡を見学できる施設となっています。